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時代が書体を推してくる

Munakata.H

ぼく、ドラえもん?

幼い頃、絵を描くのが好きでした。

特に、絵描き歌でドラえもんを覚えてからは、描くのはドラえもんばかり。

ちょっとだけ描き慣れてくると、いろんな表情のドラえもんを描いてみたり、さらに『ドラえもん』のロゴの文字も描き写すようになりました。

そのロゴも描き慣れてきた頃

「この文字の形、なんか面白いなあ」と感じるようになり、

遊びごころで自分の名前を「ドラえもん書体」で書いてみました。

すると

自分の名前がドラえもんっぽくなってる…

ということに気づき、びっくりしました。

この感覚、一言で言えば

「ぼく、ドラえもん」という感じでした。

身の回りにはCMやチラシ、看板など広告が溢れていますが、同じ量、いやそれ以上にたくさんの書体も身の回りに溢れています。

今回はその書体についてとりあげてみます。

 

 

書体の種類

現在、世界にはたくさんの書体があり、正確な数は不明ですが、個人で作成したものも含めると、30万種とも100万種以上とも言われています。

日本語の書体は大きく分けると、「ゴシック体」と「明朝体」に分類されます。(他に筆書体やデザイン書体なども)

この2つの名前、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

明朝体

落ち着きがあり、スマートな印象を与える明朝体。

 

縦線と横線の太さが均等ではなく、はらい部分が細くなります。

 

筆字を彫刻にする際に簡素化したことが始まりの書体のため、うろこと呼ばれる三角の山、があるのが特徴です。

 

可読性(読みやすさ具合)が高く、新聞、書籍、教科書などに多く使用されます。

 

ただ、パソコンやスマホなどでは明朝体の細い部分が潰れることがあるため、文章でもゴシック体が使用されることが一般的です。

 

実際今皆さんが読んでいるこの文章もゴシック体で書かれています。

 

今後、解像度の高いモニターが一般的になれば、もしかするとwebでも明朝体が使用されるようになるかもしれません。

 

ゴシック体

シンプルで強い印象を与えるゴシック体。

 

縦線と横線が均一で、はらいの部分が細くならない、うろこ(三角の山)がないという特徴があります。

 

印刷の普及とともに、見出しなどに使われることを目的として作られた書体です。

 

視認性(確認のしやすさ具合)が高く、強調したい見出しや遠くから見ても目立たせる必要があるポスターや看板などに向いています。

 

webの世界ではほとんどがゴシック体なので、読み物は紙ではなく、ほとんどスマホやタブレット、パソコンという方はゴシック体の方が身近に感じると思います。

 

 

書類作成について

基本的にたった2種類ですが、資料などを作成するときに、その使い方に困ったことはないでしょうか?

文章や見出しを作る際に選択を迫られるのが、

□どちらの書体をどこで使えばいいのか。

 

□文字色をどう使ったらいいのか

 

□文字サイズ、太さをどう使ったらいいのか

書類によりますが、基本的にはあまり多くの書体、色数、文字サイズを使うことはお勧めしません。

大事なことは、「ノイズを減らすこと」

本当に伝えたい情報を伝えるためには、それ以外の視覚的情報を減らし、読み手が理解しようとする負担を減らすことが大事です。

書体について

文章中心のビジネス文書の場合は、タイトルを目に入りやすいゴシック、本文を明朝か細めのゴシックがおすすめです。

企画書やプレゼン資料の場合は、内容にもよりますが、図形やイラストを使うことが多いものはゴシックが適しています。

ただ、提案内容によってはストーリーや雰囲気を作るために明朝を使うのも一つの方法です。

 

文字色について

色が多いと情報が多さで、本当に伝えたいことへの意識が向きにくくなります。

黒+メインカラー1色+目立たせるための色をもう1つがくらいがおすすめです。

黒もグレーにすると柔らかく、読みやすくなります。

また、色は目立つ色よりも少し落ち着いた色の方が、読みやすくなります。

 

文字サイズについて

文字のサイズはその都度変えてしまうと、全体の統一感がなく、資料として不安定な印象を与えてしまいます。

文字のサイズを3〜4種類に決めることで、ページをまたいでも安定したビジュアルにすることができます。

 

 

有名なロゴ書体

こちらのそうそうたるグローバル企業のロゴには共通点があります。

実は、全て同じ書体でできています。

書体の名前は「ヘルベチカ (Helvetica)」

あまり聞き慣れないですが、アルファベット書体では世界中で使用される定番中の定番の書体です。

今回はこの書体で全てのロゴを作成してみました。

実際の各企業のロゴはこのヘルベチカをベースに細かい修正が加わっているので、正確なものではないのですが、今回作成したロゴでもぱっと見るだけで、企業イメージがスッと入ってきます。

 

実は、この書体で当社の屋号「F-COLOR」を作ってみたのですがどこかわかりますでしょうか?

ちょうど真ん中にあるのですが、ほのかに他のグローバル企業と同じ雰囲気をまとっているように感じませんか?

私が子どもの時の「ドラえもん書体」で感じたのはこの感覚でした。

このように、例えば、目標とする企業、憧れの企業のロゴ書体を使って、新しい企画のロゴを作成することで、そのブランドや雰囲気を得る、

書体の使い方次第でこんなことも可能になります。

 

 

これからの書体

いかがでしたでしょうか

書体の選択によって、イメージの伝達は大きく変わってきます。

特に企業のロゴは、企業の理念やその時代にあった書体を選ぶことで、イメージを伝達しやすくなり、ブランド力をあげることができます。

かなりのスピードで変化する時代に対応するため、ここ数年、ロゴを変更する企業が増えてきました。

しかし、現在、webがゴシック全盛であるのと同様に、企業ロゴもゴシック体(海外ではサンセリフ)への変更が主流であるため、それぞれのブランドの雰囲気が似てきてしまっているという危惧がされています。

特に動画の影響力の強い現在、小さいスマホの画面で見る数秒の動画広告で伝えるためには、高級感のある書体を捨て、視認性が高いゴシック体を選択せざるを得ない状況となっているのです。

webや動画で最も良く伝えられる方法とはいえ、ちょっと寂しい気もします。

ちなみに私はその後、絵が上手くなることはなく、むしろなぜかとても下手になってしまったのですが、今もドラえもんの絵とロゴだけは書くことができます。

もし、時代の流れに乗って、ドラえもんのロゴが変わる日が来たら……すごく興味はありますが、やっぱりちょっと寂しいなあと思うのです。

 

〈Copywriter・Hiroaki Munakata〉

 

紙の細部に宿る〜印刷の紙の話〜

 

 

 

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