変身物語、人は変わる。
Watanabe.Y
なぜこうも人は変わってしまうのか。
変わるといっても妖怪や化物レベルにまで変わってしまう物語が
オウィディウスの「変身物語」。
誰もがもっている執念や恋慕、憎悪。
人間の身も心も焼きつくすような恋の焔にこがされて
ひまわりの花に化してしまうもの、水辺の鳥に姿が変わるもの。
半人半獣のミノタウロス、恐ろしい眼差しで全てのものを
石にかえてしまうメドゥーサ。
また、人間の姿をそのままにとどめながら
異常な行為に走るものも少なくない。
ひとはなぜ「変身」してしまうのだろう。
最近で言ったら「アナと雪の女王」も充分変身物語だ。
じぶんの意思に関係なく他の人とは違ったチカラ、
思いをもってしまい、コントロールができまくなってしまうなんて。
変身にいたるまでには、なにか、根深いなにかがあるに違いない。
だれにでも変身の要素はあるように思う。
はじめは小さな「思いの粒」が、
あるときから「常識」という範疇を超えて、
または離れてしまって、
じぶんではどうにもコントロールできない行動をしてしまうこと。
あるいは、じぶんでは気がつかないことも多いかもしれない。
わたしにだってきっとある。
最初は良かれと思ってやっていたことがどんどん起動を逸脱して
「異常な行動」になり、「あの人は変だ、あのひとは変わってしまった」ということが。
この「変身物語」を読んでいると、
ほんとうに人は、いとも簡単に変わってしまう。
それが、思いをもってしまっている人間の有り様なのかもしれない。