奥付は本のエンドロール。多くの人の働きがあっての物づくり
「本を作りたい」そんな思いがあって、出版社や印刷業に携わるようになった人もいることでしょう。
奥付と呼ばれる、本の最後のページには、制作に携わった発行元と印刷会社の名前が記載されています。
それぞれ、たった一行の会社名だけ。
でも、その会社の中には、営業、デザイナー、DTPオペレーター、工場作業員など、多くの人がいて、自分の仕事をしています。
映画を見終わったときに、画面いっぱいに流れるエンドロール。携わった人の名前が何分も続きます。
それに比べたらあまりにもシンプル。
でも、本はそんなもの。
本に限らず、印刷物は、必ず原稿があり、編集をし、レイアウトされ、版に刷られ、紙に転写、製本(断裁)、出荷、そして、ようやく納品されます。
それまでには、何度も読み返され、校正をし、日々トラブルに見舞われながら。
万が一、納品した後に誤植、乱丁落丁などがあれば刷り直しになることも。
一般書店に並ぶ本だけでなく、自費で作成させれる企業や団体の記念誌にも、同じようにいろんな人が携わります。
人の思いをつなぐコミュニケーションビジネス。
紙の本、印刷物だけではなく、ネットも今や巨大なコミュニケーションツールになっているのですが、
ただ、紙の重さや質感や匂いが、なにかを伝える要素になっていることは確かだと、ずっと紙に携わってきたものとしては感じるのです。
安藤祐介著「本のエンドロール」Amazonの解説より
彼らは走り続ける。機械は動き続ける。電子化の波が押し寄せ、斜陽産業と言われようとも、この世に本がある限り。印刷会社の営業・浦本は就職説明会で言う。「印刷会社はメーカーです」営業、工場作業員、DTPオペレーター、デザイナー、電子書籍製作チーム。構想三年、印刷会社全面協力のもと、奥付に載らない本造りの裏方たちを描く、安藤祐介会心のお仕事小説。