受容力は進化していく
Watanabe.Y
「ピアノを弾くということ。」花岡千春 著 に受容力について書かれていました。
「ずっとぴんとこなかった音楽を、ある日を境に熱愛するようになる、それまで理解できなかった和音を美しいと思うようになる、初めて聴いた作品でも、構造が最初から手に取るようにわかるようになるといった、音楽の語法やスタイルに対する受容力の進化というのは絶対にあります。
それとは逆に、ある時まで熱愛していた音楽が、突然聴くのも嫌になることもあります。
なぜこうなるのかといえば、さまざまな作品を演奏したり聴いたりすることで、自分の耳や心が経験を積んでいくからなのです。音楽作品を聴くという行為において、無防備に何かを聴いているというのではなく、かならず何らかの意識のもとに自分の裡に取捨選択した音や、音の意識を取り込んでいるということです。それによって、嗜好は必ず変わるし、音楽をするということに対する思想も変容していくのです。
受容力の変化は、結局私たちの感受性を変化させます。多くの優れた作品に接するという経験は、学問や知識を超えて、真正なものへの希求を増大させます。これこそ、ピアノを学ぶ根底にある、基礎の意識であるべきものです。」
この受容力については、どんなことにも同じことがいえます。仕事でも人間関係でも。