人との関係が薄く感じるのは

Watanabe.Y
1980年代も終わりに差し掛かり、大学卒業も間近なころ、よりによってアメリカ文学を専攻していたわたしは、よりライトで不穏でファッショナブルな小説に傾いていきました。
この頃のアメリカでは、若手作家が次々と現れ、短編小説を中心に一つのブームを作っていました。
好きだったのが、デイヴィット・レーヴィットの『ファミリー・ダンシング』とブレット・イースト・エリスの『レス・ザン・ゼロ』『ルールズ・オブ・アトラクション』。
ブレット・イースト・エリスの「レス・ザン・ゼロ」では『合流するのがこわい』というモチーフが要所にでてきます。
ドラッグ、バイオレンス、ゲイ、カジュアル・ニヒリズム、不信感、退廃的、虚無感、当てにできるものがほとんど存在しない世界
あれ?
当時の20代が感じていたことって、今の20代が感じていることと、同じ?
wwwが発明されて、世界初のWebサイト試験運用がはじまったのが1990年なので、80年代後半ではまだネットはおろか、スマホもありません。
あの頃20代だった彼らは、今50代になって、
当てにできるものがほとんど存在しない世界を変えることはできたのでしょうか。
人との関係が薄く感じるのは、時代や年代に関わらず、人の本質なのかもしれません。
これらの小説、ずっと書棚を飾っていました。
片付けのついでにさらっと読み返してみましたが、「その時に読める小説」の分類のようで、今では読み切る根気も気力も若さもないようです。
図書館にも蔵書としてあるようですし、思い切ってサヨナラです。
合掌。