カネを積まれても使いたくない日本語
Watanabe.Y
カネを積まれても使いたくない日本語
内館牧子 著
読みました。
あー、おもしろかった。
的、感、力、カタチ、の乱用。
例えば、力。
赤瀬川原平が「老人力」という本を出して、「老人」というマイナスイメージを覆し、プラスイメージとユーモアと愛嬌と老獪さをもたせた。
その後はもう「力」が出てくる、出てくる。
恥ずかしくないのかと思うほど、「幼稚な造語」であふれ返った。
参議院予算委員会では、質問に立った女性国会議員が「与党力」を連発。
東京都教育委員会でも書類に「教師の授業力」と書く。
料理雑誌の企画で「献立力」。
勉強会の名称が「教師力シンポジウム」
小中学校で新聞を活用する学習を始めようということで、これが「新聞授業力」。
大新聞の記名コラムの見出しが「楽しむ力は勝負力」。
他にも「防災力」、「東北力」、「ご近所力」、「人物力」、「青年力」、「健康力」、「天然力」、「後輩力」、「仕事力」、「シミュレーション力」等々。
女性誌に至っては「着やせ力」、「もて力」ときた。ついには、某市の文化事業団が出す情報誌のタイトルは「まちりょく」。「町力」か「街力」の平仮名だろう。
他にも、過剰にへりくだる、あいまいにぼかす、相手を異様に持ち上げる言葉のおかしさを、喝破してておもしろい本でした。