ふくしまのいろ5 あんぽがき
Watanabe.Y
ふくしまのいろ5
あんぽがき
古里の風土が醸し出す、美しい橙色
伊達市 あんぽ柿
大正期の中頃に、伊達市五十沢地区で生まれたあんぽ柿づくり。
その歴史は約 百年といわれる。
干し柿というと一般的には黒ずんだ色を思い浮かべるが、あんぽ柿は柿の色はそのままに、中味も飴色のような橙色となるのが特徴だ。この色を生み出すのは、硫黄燻蒸(くん じょう)という独自の工程。
無害で酸化防止、殺菌の効果を施すことにより、黒ずまない美しい色を生み出している。
最近では他の地域でもあんぽ柿を作っているが、この色はなかなか出ないのだという。
それは伊達の気候も大きく関係している。
山から吹く風の強さが、あんぽ柿づくりに最良の環境なのだ。後継者問題などもあるが、生産者が「ここまできれいな色のあんぽ柿は他 所では作れない」というプライドを持って商品を送り出している。
地域の子どもたちには、「あんぽ柿の絵本」で五十沢地区発祥のあんぽ柿の魅力を伝えている。
風土から醸し出された橙色は次代への灯りともいえる古里の色だ。
(取材協力:JA ふくしま未来)