ふくしまのいろ14 せきたん
Watanabe.Y
ふくしまのいろ14
せきたん
いわきの近代化を支えた、夢を映す黒色
いわき市 常磐炭田の石炭
石炭の色といえば、誰もが「黒」を思い浮かべると思うが、実は採掘する地区によって様々な黒がある。
黒光りするもの、くすんでいるもの、黒と灰色の中間ぐ らいのもの…など。
石炭の色は自然環境、成分、熱量などによっても異なり、その土地の歴史を含んでいる。
常磐炭田で石炭の採掘が始まったのは幕末の頃までさかのぼる。
時代とともに変遷をたどり、太平洋戦争後の復興期には「黒いダイヤ」と呼ばれ、日本の復興をエネルギー面で支えた。
本州最大の炭田として知られる常磐炭田だが、石炭の質は他の炭田と比べよくなかった。その上、採掘の際に湧く大量の温泉の影響で、作業効率はなかなか上がらなかった。
それでも、早くから常磐線で一大消費地である首都圏へと運ばれ、価格競争で優位に立つことで炭鉱の町として長く栄えた。
いわき市の近代化の礎となった石炭の「黒」は、人々の夢を映し光り輝く希望の色であったに違いない。
(取材協力:いわき市石炭・化石館ほるる)