ポラロイド伝説 クリストファー・ボナノス 著
Watanabe.Y
この本を読むまで、ポラロイドカメラのことなどすっかり忘れていました。
そのくらい時代は変わってしまったということです。
子どもの頃カメラに憧れて、はじめて一眼レフを買ってもらったのが、中学のとき。
家にはポラロイドカメラもありました。
そのあまりにも「インスタント的な」俗っぽさが軽すぎて、好きにはなれませんでした。
でも、ポラロイドカメラ自体のロボットみたいな動きや音、雑誌などでよく使われるポラロイド写真のアーティスティックな感じ、そのときの写真はその一枚だけという刹那性には惹かれるものもありました。
そんなことを思い出させるだけでなく、この本を読んだあとはとても考えさせられました。
エドウィン・ランドという天才の栄枯盛衰。
彼の引退後、この会社がたどった道は、創業からの成功物語の真逆の道をたどります。
市場の根本的な変化、後継者の問題、強欲な投資家の登場など、あれよあれよというまに、転落していきます。
「ポラロイド社にはナンバーツーがいない。いるのはナンバースリーの集まりだけだ」
こういわれる企業のあり様。
ランドが後継者をつくれなかったことが失敗の教訓として、この本に詰まっていると感じました。